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正直どうでもいい

こんな名前ですが好きな漫画の感想をかくブログです

[漫画]わたしは貴女の特別なひと。『やがて君になる』1巻

4048654322やがて君になる (1) (電撃コミックスNEXT)
仲谷鳰
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2015-10-24

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   好きにならなきゃいけないと思って 辛かったんだね

「特別」って何だろうかと、思う瞬間。

仲谷鳰さんの初連載作、「やがて君になる」の1巻が発売されました。
発売前から知り合いに「いい百合漫画がある。分かりやすい百合とはちょっと遠いかもだけど」とオススメされて、どういうこっちゃと期待値高めに購入した次第。
結果的にはめちゃくちゃおもしろい。かつ、恋愛感情というものに対してこれまであまり見なかったようなアプローチがされているように感じられます。かなり新鮮でした。
ざっくり感想を書くとします。

漫画を読む前でも読んだ後でも、このインタビューは面白いと思うのでこちらも要チェック。
百合作品に対する想いを語る――電撃コミック『やがて君になる』作者突撃インタビュー!



新入生、小糸侑。
恋愛が分からない。焦がれたいのに心が揺れない。
恋愛不感症とも言えるそんな主人公が、生徒会の先輩である七海燈子と出会って物語は始まります。七海先輩は男子からはもちろん女子からも愛の告白を受けるような、いわゆる高嶺の花。
「今まで好きと言われて、どきどきしたことないもの」とまで言ってのける彼女は
しかしとある事から小糸侑に心惹かれるようになり、アプローチをかけていく―――
はじめて特別な感情を抱いた先輩と、いまだ“特別”の感触を知らない小糸。
2人の関係にまつわる、様々な感情が少しずつ暴かれていく形で、ストーリー進みます。

恋愛不感症とは失礼は言い方ですが、そんな主人公・小糸侑のキャラクター性こそが、この作品の大きな魅力になっていると思います。
ときめき度高いセリフやシチュエーションが繰り出されたところで、彼女は動じない。きっとこれは喜ぶべきことなんだろう、素敵だな、と思いはする。でもそれは絵空事のように実感は無く、彼女にとって嬉しいも悲しいもない。感情が揺らがない。

本で読む、歌に歌われる、キラキラした恋模様。
まるで羽根が生えたように心は軽く舞い上がって、ドキドキして震えが止まらないような興奮。
そんなのを夢見るけれど、いざ告白されたって

やがて君になる11

舞い上がること無い心、しっかり地面を踏みしめたままの脚、静かなままの心臓。
小糸は先輩との関係性を通じて、これから恋を知っていく・・・という流れではあるものの
時折、この主人公の黒い感情が炸裂する。炸裂してくれる。これがたまらないんですよ!

“特別”を知った先輩に対して「ずるい」と、嫉妬のような感情を露にしてしまう。先輩の好きな人は自分なのに。自分がその“特別”の感情を知らないことからくるいらだち。
まずもって小糸が先輩に興味を抱いたのは、先輩が自身と同類だと思ったからだった。
その先輩は、ほかならぬ自分で“特別”を知って、変わった。
私も知りたいのに。私もそっちへ行きたいのに。どきどきして、ふわふわしたいのに。

やがて君になる12

けれど、特定の相手にこういった黒い感情を抱いてしまうってことも
恋愛不感症である彼女にとっては、ひとつの進歩のようにも思えたりする。
先輩の必死のキスを、無感情に無感動に受け止めた小糸。
彼女がそういう“特別”を先輩に抱く。ポジティブな気持ちでは無くても。
これというのもひとつ、先輩との関係における彼女の得たもののひとつに感じる。

・・・でも彼女は恋愛的な意味でどきどきできない意味での不感症であってけっして感情が無いわけではないです。
もとから感情が薄いこともあるだろうし、幼少のころから「恋とはすごいものらしい」というイメージが膨らみ上がりすぎて、いざ自分が直面したときのギャップが激しかったというのも原因にあるだろうな。
彼女の抱いた嫉妬だって、恋愛がらみではなく人間が備える元来の感情ではあり
これを彼女の恋愛的な進歩と呼ぶのもちょっとズレがあるかなぁと自分で反論したり。
でもひとりの人間に強い感情を抱くというある種の執着は、どんな形であれ心の距離を縮めるように思う。

ともかく、彼女の感情の揺れ動きを追うだけで、彼女のモノローグをひとつ取り上げるだけで、とてもワクワクするのです。なんてめんどくさい女の子なんだろうかと。でもそこがひどく可愛らしい。



どうして先輩は私のことを好きなんだろうかと、恋をする人たちがその身を焦がす感情とはどんなものなのだろうかと、小糸は悩みます。
幸せな悩みでもあるだろうけれど彼女は彼女なりに、涼しい顔をして、この命題に取り組むのです。

で、そんな難敵に恋してしまった七海先輩は、これまた本当に、乙女なんだ・・・
これまで恋というものを知らず、誰とも付き合いもせず過ごしてきた彼女。
クールな彼女が初恋を前にジタバタしてしまうのがかわいすぎる・・・!!

なんとか、なんとか意識してもらおうと不意打ちキスをきめたり
休みの日だってオマケみたいな理由を付けて会いにきたり
人前では凛々しい彼女が、裏からこっそり小糸に触れられたら動揺が隠し切れない。
ささやかなシーンですがペットボトル回し飲みの間接キスに照れちゃうのも地味に破壊力高い。
「アーーーッ!!アーーーーッ!!!」と思わずのけぞってしまう可愛らしさ。
相方がなにを言われてもされても赤面ひとつせずツンとした女の子なので
その反動のように、等身大の恋する女子が全面にあふれた七海先輩が際立つ。

けれど七海先輩にだって一捻りがあって。
七海先輩にとって、小糸は縋る先でもあったのだと。明かされてさらにニッコリである。

彼女は努力によって、平凡だった自分を変えて今に至った。
周りに好かれるため、信頼されるため、理想の自分を目指して、必死にもがいた。

やがて君になる13

七海先輩は、特別な自分であり続けたい。
けれど小糸は、”特別”を知らない。彼女の前でなら、特別である必要がない。
張り詰めた努力で日常を維持している先輩にとって、
小糸の前でだけは、”特別な自分”を手放せる。それこそが特別な関係なのだ。

恋愛的な意味での”特別”を探す小糸。誰かに認められた”特別”な自分が欲しい燈子。
ちがう意味合いだったはずの『特別』というキーワードがここで重なる。
読んだ時にゾクゾクきたんだ・・・お見事なんだよなぁ・・・!



一目惚れのような、最初から燃え上がるような恋じゃなくてもいい。
小糸の友人である朱里の失恋エピソード時にも語られることですが
それはそのまま小糸と先輩にも当てはまるもの。
かなり変化球な主人公ですが、だからこそこの作品は面白い。

主人公たちだけではなくサブキャラたちも今度動いていきそうな予感があるし
これは引き続きチェックしたいシリーズですね。
とくに佐伯さんは、これから黒い感情が出てきそうでワクワクします。
個人的には小糸の友人で黒ボブヘアの娘が好きなので活躍してほしいぞ・・!

百合漫画・・というにはイチャイチャ成分は少なく、そもそも恋愛そのものへのポジティブさに欠けているものの、やはりこれは、とても慎重な、とても臆病な、恋のおはなしだ。
そして恋愛にかぎらずより根本的な、人としてのつながりに視線が向けられているようにも感じる。恋というか、人を想うことに、焦点を当ててる。
「女の子だから」というより、「あなただから」と断言できるような
そういう、恥ずかしくも最高にかっこいい恋へと、物語は走りだした。
今はまだ遠いけれど、やがて特別な君になる。
いずれ来ると信じたい小糸ちゃんと初恋と、最高級の赤面を待っています。

『やがて君になる』1巻 ・・・・・・・・・★★★★
期待が持てる新人さんでありシリーズ第一巻。恋愛感情を遠くから眺めるような百合漫画です。

[漫画]正しい愛し方を知らない『あなたの世界で終わりたい』

あなたの世界で終わりたいあなたの世界で終わりたい
あおの なち

一迅社 2015-09-25
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Amazonで詳しく見る
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   誰だって 強がって 他愛もない嘘をつくから

あおのなち先生の作品集「あなたの世界で終わりたい」感想。
前回の「あの子に優しい世界がいい」と連続刊行されたうちの一冊目。
表紙の雰囲気からもわかりますがはっきりと差別化されていて、2冊一緒に手元においておきたいデザインとなっています。並べて本棚に置くと綺麗。
恋のような魔法があるなら『あの子に優しい世界がいい』

さて、こちらの短編集はどちらかというとダークなメルヘン要素が強いかなと感じる。
モチーフとなっているのは例えば天使だとか吸血鬼だとか。
どちらにせよ人外×少女の組み合わせとなっており、そういったジャンルが好みの方なら特にオススメしたい。

全部で4編を収録しています。それでは個別に。



●「Goodbye my god」
転入してきたイケメンは、そのあと不登校になった。
プリントを届けに彼の家に行ったら彼には羽根が生えていた。
転校生は天使だったのだ。

自分を赦せるか、がテーマなのだろうか。正直もっと先を読みたい、もっと言葉が欲しくなった短編ではある。けれどあの静寂のなかで歩み出す一瞬で幕を下ろすこの短編は、この本の中で1番いとおしい物語。
できそこないの自分。周囲と違うことに耐えられず逃げ出した弱い自分。
人間の世界に馴染めずに登校拒否をする自分。
天使である園田くんは、クラスメイトのの田村さんと会話する中で、自分のナイーブな部分をどんどんとさらけ出していく。
話し相手が現れた歓びもあったろうけれど、それ以上に、これまで彼はどれだけ寂しい孤独の中にいたのか、彼の懐きぶりの裏側を想像するだに胸が締め付けられる。

あなたの世界12

捨てられたことを嘆いた天使は、自らの意思でその翼を捨てる。
天使でも人間でもどちらでもない状況から、一歩踏み出したことで
園田くんの中で、どれだけ田村さんのぬくもりが大切であったかがわかる。

しかしこの小さな一歩から少年と少女はどう変わっていくんだろう。
田村さんはクラスで浮き気味。家庭も円満とは到底言えず。
きっと様々な変化がこれからあるだろうけれど、それをきちんと読んでみたかったなぁ。
続編があったら学園ラブコメ路線でオナシャス!!(無理
美しい、印象的な結末でしたが、やはりもっと様々なものが解消された世界まで描き切って欲しかったようにも思う。贅沢かな・・・
神を捨てて少女の手をとるというのはタイトル回収がうまくされてて好き。

●「僕らの破片」
兄妹の描いたショート。正しい愛とはなんだろう、というテーマを描く。
主人公のお兄ちゃんは、昔から男の子を好きになる男の子だった。
幼少の頃より「自分は普通ではない」ということを知り、いまなおその現実に苦しめられながら、好きな人にたやすく裏切られながら、いま妹の恋愛相談を受けている。
ラストは思わずニヤリとさせられる仕掛け。
妹のきらめいた瞳は、果たしていつまで光っていられるだろう。
彼女もまた、イバラの恋を征く。
兄貴の呪うような祈るような冷たい視線がぐいぐいと読者を引き込んでくる。

あなたのせかい13

●「Mr.wonderland」
「ぼくたち、『ミスター・なんちゃら』みたいなタイトルに弱い芸人でーす!」
というくだらないネタはさておき、この短編はほかとちょっと趣が違う。
まさにワンダーランドに迷い込む夢の物語で、ファンシーでありつつかなりオドロオドロしい、黒っぽい血で塗り潰された悪夢のような感触。なのに夢の最後は、甘酸っぱくてセンチメンタル。
ワンダーランドに無邪気にあこがれる少女期からの卒業、そんなストーリーかな。
お別れを告げるラストシーンはずいぶんと大人びたキス。

●「貴女の世界で終わりたい」
表題作。「あなた」と「貴女」の変更点は色々意味深なポイント。
コミックスのタイトルにするにあたって、より幅広い意味が与えられた。
80ページ程の中編であり、かなりエネルギーがつまった作品に感じられます。

死にたい願う少女。血を飲めず衰弱する吸血鬼。
少女は、どうせ死ぬならあなたに殺されたいと願う。
願いながらも、閉じた世界でふたりは寄り添って、何事もない会話を交わす。
以下、ネタバレになってしまうので注意で。

あなたの世界11

・・・やはりこのラストの解釈はいろいろ出来そうなので、自分のものを書いておく。
最後で主人公の名は「田村芙由」であったことが明かされるわけですが
田村という姓はそもそも吸血鬼が名乗っていたものだったはず。

この作品における吸血鬼とは実在するモンスターというより、心に巣食う鬼。つまり最初から吸血鬼なんてのはこの世界に存在はしていなかった。彼がいたのは芙由の心の中。
「貴女の世界」。

彼女が急に孤独感に苛まれて不登校になったのは、弱った心に吸血鬼が取り憑いたから。
そりゃ150年前から生きてる吸血鬼が「田村」を名乗っているの、いま思えば違和感ありまくりである。

芙由が勝手に精神の深層世界でもうひとりの自分と語らっていたということも考えられる。
「貴女のことがきっと好きだった」と吸血鬼に言われたのも、彼女の妄想だったのだろうか。
芙由も吸血鬼も、母親という存在をとても重々しく捉えていることも共通する。
吸血鬼とは、心のもうひとりの芙由だったということだろうか。

しかし吸血鬼のセリフひとつひとつを見ても、死にたがる芙由に現実で戦うことを求めたりかなりアクティブ。
その上で母親と同じ悲劇を辿ろうという彼固有のバックボーンもあったり
芙由の中だけに存在する幻影などではなく、ちゃんとした個として描かれている。
彼が「成り損ない」であったことが、芙由が生き延びた理由として述べられている。
彼が出来損ないなのは血が飲めないこともあるけれど、まずターゲットを死に至らしめることができない心の優しさもあり、さらに言えば取り憑いた少女に恋をしてしまうような詰めの甘さもあったりする。
結局のところ、ひどく脆く儚い、存在だった。
人の心の中にしか存在しないとは言っても、きっとこんな弱い吸血鬼がいたのだろうと
そう信じさせてくれるような説得力のあるラストとなっている。
「ヒトとして死ぬ」ことを選ぶ。誰かのために命を投げ出せるような恋ができる。


印象的なモノローグのタイミングだとかコマ割りの華麗さだとか
かなり雰囲気で魅せてくるタイプの作品。スタイリッシュ。

そういえばこの作品も「Goodbye my god」も、姓が田村なキャラが出てくるのはなにか関連があるのだろうか。



そんな作品集。
「あなたの世界で終わりたい」「あの子に優しい世界がいい」2冊並べて置くが吉。
主にページ数の多い「Goodbye my god」「貴女の世界で終わりたい」のイメージから来ているけれど、コンプレックス・・・というか疲れて弱り果ててしまった心を、いかにして開放するか、そういった場面が印象的な一冊。
開放は傷を抱えながら生きていくことでもあるし、あるいは死に場所を見つけることでもある。
なんだかんだで出てくるキャラ、ギリギリで生きることに執着してくれるからそう暗いものでもない。
あおのなち先生の同人誌こんど出たらきっと手に入れる。

『あなたの世界で終わりたい』 ・・・・・・・・・★★★☆
美麗な作画、澄んだ氷のような世界観、スタイリッシュなキメシーン。ツボ。
「あの子に優しい世界がいい」と比べると、なんとなくこちらの方が暗い・・・ような。

[漫画]恋のような魔法があるなら『あの子に優しい世界がいい』

あの子に優しい世界がいい (IDコミックス)あの子に優しい世界がいい (IDコミックス)
あおのなち

一迅社 2015-10-23
売り上げランキング : 3874

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   そんなもの 早く壊れてしまえばいい

あおのなち先生の作品集「あの子にやさしい世界がいい」の感想です。
商業誌に掲載されたものや同人誌で発表されたもの、計4作を収録。
先月に「あなたの世界で終わりたい」という作品集も発売されておりこちらも次回に更新するつもり。どちらもいい本です。いまイチオシ作家。

百合、BLなども含む魅惑的な人間関係を一冊。
アンドロイドと主人のイビツな主従、はたまたキラキラした魔法使いの世界。
かわいらしくいじらしく、時折こころ切り裂く切なさが込められた作品たちが広がります。

前作「あなたの世界で終わりたい」が吸血鬼や天使といったファンタジックなモチーフが目立ったことを考えると、あちらのダーク寄りな空気よりもさっぱりとした淡い光が感じられる内容。
それは表紙イラストの雰囲気にも現れているみたいに感じますね。

作品集ということで個別にざっくりと感想を書いていきます。



●「アンの庭」
アンドロイドだって夢を見る。
家族を失って機械仕掛の体となっている主人と、彼に拾われた欠落品と呼ばれるアンドロイドの女の子の物語。舞台はアンドロイドたちが普通に人間とおなじように心を持った世界。(少なくとも作中ではそう感じられる)
抜け殻となった孤独な主人に、暖かにお世話をするアンドロイド・アン。
けれど塞ぎこんだままの主人は、アンにたいして冷たく接し続けます。

この舞台においては、アンドロイドに対して「人間の真似事」「人間にとって都合がいい存在であり続けろ」といったような、あくまでも人間主体の主従関係であることは示されます。
主人が死んだらその後を追うアンドロイドだって居る。
アンドロイドというモチーフがそもそも好きなのですが、そこから浮かび上がる複雑な人間側の恐怖心だとか欲望だとか、心をもったアンドロイドが何を選択するかとか、この作品にもそれらのロマンはきっちり感じられます。
ストーリーが進むに従い、単なる主従ではなくオンリーワンな関係性に、それこそ『家族』としての温かみが得られていく家庭は熱くさせられます。

あの子に優しい11

主人にしたって、おそらくだけど、廃棄処分寸前であったアンをわざわざ選んだのには
恩を売って、より必要とされる存在として自分を保ちたい欲求があったのか
もしくは孤独となった己の境遇が、廃棄処分とされるアンに重なったのか
いろいろと考えてみると楽しいですね。世界はまだ冷たい。けれど巡り巡っては彼はアンに救われた。
恋愛というより、家族モノ的要素も感じます。あとアンドロイドロマン。素敵。

アンドロイドだって夢を見る。あなたと一緒に泣いて笑って暮らす夢。

●「二人で明けて」
ボーイズラブ・・・とは言えかなりあっさり。まあね、これ単行本の編集百合姫ッスよ。
願わくばもっとディープに主人公らの気持ちを爆発させた様子も見てみたかった。
主人公の理想と現実が交じり合う構成も、より味わい深さを引き出す短編。
2編に分けて描写することで読者的にはグッと読みやすくなってます。

東京から越してきたクールな少年と、教室の隅でイラストをかく引っ込み思案な少年。
それぞれは作品内でお互いを慮った発言、モノローグを連発してくれるので、エンジンがあったまってきたところで発射される強烈な刹那的・セツナ的クライマックスの破壊力もマシマシである。
理想の世界を押し付けて、けれど臆病に手を離して、なのに今だって君を想う。
そうそう。後編を読んでから、彼のその「理想の世界」の体現である前編を読むと
さらにさらに感情が昂るので二度読み絶対だ。

あの子に優しい12

世界は優しくないけれど、彼と彼をつなぐような神様を悪戯を予感させて、物語は幕を閉じるわけだ。

●「彼女の破片」
個人的には突き刺さるセンチメンタル度ナンバーワンの作品。傑作だ・・・!

『気持ち悪い』
それは誰の言葉だったか。開始3ページ目にして手向けられた、少女への嫌悪をめぐる物語。
構成もキャラクターの言動、演出、えぐるモノローグどれも完璧と言える完成度なので
なんかもうぐだぐだ感想を書くのもアホらしいなって思ってしまう。みんな読もう。
ふたりの女の子とひとりの男の子が複雑に絡みあった、奇妙かつ切なすぎる関係性にメロメロです。
さらりと読ませるタッチなのに内容はドロッドロに人間ドラマ。けれど青春。

どんな気持ちのうえでだって、どんな覚悟のうえでだって、必要として必要とされて寄り添えるならばそれでいいのではないだろうか。けれどこのエンディングは、彼女たちにも読者にも未来への覚悟を要求する。甘酸っぱいの一言では済まされない、傷つける覚悟は、傷つけられる覚悟はあるかと問うている。
ラスト3ページ、振りかざした手でその薄いガラスを砕くことはできたのだろうか。
あまりにも不格好、あまりにも拙い。だからとてもとても切実。
ヒリヒリとした痛ましさが胸に食い込んできて、窒息しそうになる。

あの子に優しい13

大好きです。この短編。
コミックス最初のカラー口絵もこの作品のイラストなのですが、
微笑み寄り添う女の子ふたりを、優しく守るように包む男の掌。カッコよすぎる。

ガラスを砕かずとも、もしかしたら、その隔たりがふたりを安心させることもあるのかもしれない。

●「雨」「Aftrer the Fuchsia」
ラストを飾るのはポップなラブコメディー。
WEBで公開されたものと、単行本書き下ろしの2作で構成。
素直になりきれない魔法使いの女の子の、不器用なばかりの魔法使いの男の子の、
揃いも揃って歩み寄るのがヘタクソなくせに輝き眩しい恋模様。
すなおな気持ちで「カァ~~~っ!」と戸っ子テンションでニヤニヤしてしまった。
ヘヴィな「彼女の破片」の空気をいい意味で断ち切って、コミックスとしての雰囲気を支配している感じがある。

そして本編よりも未来を描いたかのようなこのカバーイラストの
つなぎあわせた手からあふれる花々が、卑怯なくらいに笑顔にさせてくれるのだ。
魔法のような恋があるなら、恋のような魔法があってもいい。それこそ掌から溢れるほどの幸せが。

作品で花が出てきたらとりあえず花言葉をしらべるマンなので「Fuchsia(フクシア」で調べてみた。http://hanakotoba-labo.com/28hu-hukusia.htm ウム。予感がする。



そんな短編集。かなりレベルの高い単行本です。絵もとにかくかわいいのに、ふと冷めたような表情をしたときのキャラクターたちの纏う空気も魅力的。
俺のコミティアヂカラがもりもりと膨れ上がったわけですよ。
嬉しいことに今年にもう一冊出るかもと作者さんも言ってる。今後も勢力的に描いてほしいなぁ・・!

『あの子に優しい世界がいい』・・・・・・・・・★★★★
あおのなち先生の単行本は今後出たら迷わず買えそう、ってくらいお気に入り。
いびつで微弱な心の振動が、ページから伝わってくるような表現力が凄い。特に「彼女の破片」。

[漫画]2015年11月単行本の購入予定

コードオブジョーカーってアケゲやってます。ただいまJ3とJ4ルーパー。

11/04 集英社 ジャンプコミックス 僕のヒーローアカデミア 6 蠢く 堀越 耕平
11/04 集英社 ジャンプコミックス 背すじをピン!と ~鹿高競技ダンス部へようこそ~ 1 競技ダンス部へようこそ 横田 卓馬
11/05 白泉社 花とゆめコミックス 「あの商店街の、本屋の、小さな奥さんのお話。」初恋本屋。 高橋 しん
11/06 秋田書店 少年チャンピオン・コミックス みつどもえ 16 桜井 のりお
11/06 講談社 アフタヌーンKC ウィッチクラフトワークス 9 水薙 竜
11/06 講談社 KCxITAN フラウ・ファウスト 2 ヤマザキ コレ
11/09 講談社 講談社コミックス 恋と嘘 3 ムサヲ
11/10 マッグガーデン ブレイドコミックス ARIA 完全版 ARIA The MASTERPIECE 1 天野 こずえ
11/12 小学館 ゲッサン少年サンデーコミックス ハレルヤオーバードライブ! 15 高田 康太郎
11/12 小学館 ビッグ コミックス 最果てにサーカス 1 月子
11/12 アース・スター エンターテイメント発行/泰文堂発売 アース・スター コミックス センチメンタルーミー 1 ノッツ
11/12 フレックスコミックス発行/ほるぷ出版発売 メテオCOMICS ゆーあい 1 とこみち
11/14 KADOKAWA BEAM COMIX 狼の口 ヴォルフスムント 7 久慈 光久
11/16 秋田書店 書籍扱いコミックス 花のズボラ飯 3 水沢 悦子/久住 昌之
11/16 少年画報社 YKコミックス 猫瞽女 ―ネコゴゼ― 2 宇河 弘樹
11/17 講談社 講談社コミックス 週刊少年ガール 3 中村 ゆうひ
11/19 小学館 サンデーGXコミックス やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。@comic 6 伊緒 直道/渡 航/ぽんかん8
11/27 KADOKAWA DC よつばと! 13 あずま きよひこ
11/27 KADOKAWA 電撃コミックスNEXT 森山大輔短編集 魔法医猫といばら姫(仮) 森山 大輔
11/27 KADOKAWA 電撃コミックスNEXT メランコリック(仮) 吉乃 そら/Junky/ちほ
11/30 白泉社 書籍扱いコミックス 溺れるようにできている。 完全版 シギサワ カヤ

11月の買いたいナァのリスト。
アニメ化決定のヒロアカ。連載から早くしてここまで盛り上がるとは。でも納得の面白さ。
「背すじをピン!と」も期待の新作。競技ダンスの週刊少年漫画って題材がまずいい。
「小さな奥さんのお話。」、シリーズ2冊めのコミックス。というか続いたのかという印象。好き。
ARIA完全版がリリース開始。映画を見てARIA熱が出たので買いたくなっている。
「ハレルヤオーバードライブ!」最終巻。雑誌でも読んでますが、最高のラストだった・・・。
「花のズボラ飯」ひっさしぶりの新刊だー!3年半ぶりか。
「週刊少年ガール」第3巻。漫画技法の可能性を見せてくれる青春オムニバス。
「よつばと!」13巻ッ!!ついに出るぞ!これも久しぶりなコミックスだ。
「溺れるようにできている。」の完全版が出る。旧コミックスはもう古くなったし実家だしで買いたい。

エロ漫画的には駄菓子先生の新刊がアツいのでは・・・!!!

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漣

Author:漣
「さざなみ」と読みます。
漫画と邦ロックとゲーム。
好きなのは思春期とかラブコメとか終末。

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