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正直どうでもいい(移転しました)

マンガ感想を主に書くブログ。移転につき凍結中。

[本]カッコよくて弱くて泣き虫で強がりで 『クララはいつも傷だらけ』

クララはいつも傷だらけ (mellow mellow COMICS)クララはいつも傷だらけ (mellow mellow COMICS)
(2009/01/29)
山田酉子

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   かわいいなあ 泣かせたい

BL漫画レビュー初挑戦といたします。このブログはどこへ行くのか^q^
レビューは初めてですが読むこと自体は初めてではなく、家族から「世界一初恋」とか借りて読んでましたが(そういや4月からTVアニメやりますねぇ)・・・、まぁこれまであんまり馴染みが無かったジャンルではあります。
そんな自分がなんで今回BLでかと言うと、先日読んだ「女の子のすべて」(→レビュー)が大変素晴らしかったので、これならばと作者の別作品も購入したというわけでであります。
というわけで、普段このブログを見てくれている人たちにどれほどの需要があるか分かりませんが、今回は「クララはいつも傷だらけ」で更新です。物は試し、という感じで。

本作は短編集となっており、6つの独立したエピソードを収録しています。
内気になった3つを個別で感想を書いていこうかなと。

・クララはいつも傷だらけ

表題作。クララとはメインキャラの倉持くんの愛称。
クララは大学でも有名なモテ男で、その上乱暴者。
そんな彼をあっさりお持ち帰りして夜を共にしたゲイの主人公ですが、それ以降クララは何かと彼にまとわりつくようになります。
人懐っこくて寂しがり屋で、だからすぐに繋がりあうことを求めてくるクララ。
ひたむきに自分を想ってくれる存在。そりゃあ、心動かされてしまうというものです。

20110322021005.jpg

自分が隣にいて当然だ、と言わんばかりに主人公と女の子の間に割り込むクララ。
独占欲強い人間は女の子だろうと男の子だろうとかわゆいものぞ。

最初は「たった一回ヤったくらいで」なんてクララを疎ましく考えていたように、性に奔放な主人公。束縛されることは何より嫌だという人物でした。
そんな彼も物語の最後には「かわいいなあ 泣かせたい」「何度も 何度も」と、彼と共の未来をなんてことなく自然に見据えた考えを持つようになっている。クララしか見えなくなってる。この変化には思わずニヤリ。
「虐めたい」「泣かせたい」なんてそんなちょっと刺激的でサディスティックな欲望は、もっと近づきたい・触れてみたい・・・そんな深層心理の表れみたいで。
Sなようで従順なクララと、見た目以上にドSな主人公。いいペアじゃないですか。
物語としてのインパクトはやや薄く、性的描写も少ないですが、心の揺れ動きを丁寧にたどった作品となっています。クララは怒りながら目に涙をためているのが似合いますね!
傷だらけなクララが一番かわいいのです。

・テイクイットイージーマイブラザー

初恋の相手は義兄。ただいま同居中。
主人公の、いつもちょっと拗ねたような表情がなんとも可愛らしいですが
キャラクターとして特徴的なのはやはり義兄の林太郎ですよ。最初はイラッとしましたが、底知れぬ魅力を持つ野郎じゃないかと。
イタズラに主人公を惑わせるそぶりだったり、その襲い受けっぷりだったり。ひょいひょいのっかっちゃう主人公もなんだかなぁですが、林太郎は数上手。でも林太郎も自分から決定的な行動を起こすことはしない。主人公にそれを促すように経ち回る。策略家というか、卑怯者というか、ある意味弱いかな。
林太郎も主人公も、なんとなくお互いがお互いを凄く好きなんだと言うことは分かってる。
けれど主人公は自信が持てず、林太郎は主人公の言葉を待っていて・・・どんな風で、上手く前に進めない二人。主人公が不安を吐露するシーンはセンチメンタルでお気に入り。

20110322021013.jpg

思い通りにいかない現実へのもどかしさを嘆きつつも、きっとコイツなら、なんて甘い期待も抱いてみたりして。自分を選んでくれるんじゃないかななんて考えて、それは良いことなのか悪いことなのかも判断できない。でもそんな夢に焦がれてしまう。
なんとなく自分は、この2人はずっとこんな曖昧で生ぬるい関係でいて欲しいかったり。
すぐ近くにいるのに上手く相手を捕まえられない、そんな弱い2人のまま。
まぁ林太郎がまた変なことしてすぐにくっついてしまうような気もするなぁw
あとなんか収録6作の中で一番エロかった気が。でも別にそこは・・・うん。

・むくどりソーダ

独特の空気が蔓延してる作品。ああ、とても好きな感じだ。
ささやかで不透明で漠然とした、でもどうしようもなく膨らむ将来への不安。
宵のころに空に羽ばたく無数のむくどり、という絵がいくつか登場し
それを見るたびになんか言葉にならない感情がふんわりやってくる。
物語としては、恋愛というより不安と戦うために寄り添った少年2人、という感じで、そのゆるさや儚さがもなんだかツボ。ちょっとズレた青春チック。
何気にこの短編集では一番好きかも知れない、単行本最後に収録されている短編です。



ではまとめ。
個人的にはもっと捻くれてほしいなぁという一冊でした。
「女の子のすべて」と比べても大分スウィート。むしろあちらの作品で女の子を酷い目にあわせすぎだろという気もw更にトゲトゲしてもよかったです。短編集として1つくらい。印象に残らない作品を少々ありましたので。
しかし純粋に物語として・ラブストーリーとして、楽しめました。
丁寧に丁寧に心の動きを追って描写していき、キャラクターの行動・心理が自然で無理のない印象を受けました。上手い着地点に向かわなくても、それが2人にとっては正解なんだろうと思わせるような。
あとこの作家さんの作りだす空気感に自分が凄くハマることを再認識。山田酉子先生は要チェック。自分に言い聞かせてみる。頭の中が渇くような、温かくなるような、そんな感じ。
身構える必要があるほどの過激さはありませんでしたし、割と読みやすかったです。
しかし成年向けマークないのに成年向けの「女の子のすべて」より消しが薄い気が!というか消されてねーよ!フリーダムだなBL!まぁ目立つほどの数はありませんけどね、性描写。
そんなわけで「クララはいつも傷だらけ」、なかなかでした。

『クララはいつも傷だらけ』・・・・・・・・・★★★☆
心のひだをくすぐる情景、言葉、人物。いい作家さんだなぁ。

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