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正直どうでもいい

こんな名前ですが好きな漫画の感想をかくブログです

[漫画]全力でケンカして、全力で踊ろう。青春してるんだろ!『BUTTER!!!』4巻

BUTTER!!!(4) (アフタヌーンKC)BUTTER!!!(4) (アフタヌーンKC)
(2012/03/23)
ヤマシタ トモコ

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   …あたしは皆にどんなふうに優しくしてもらって…助けてもらったんだっけ…

感想書くの遅れましたが、今日はヤマシタトモコ先生の「BUTTER!!!」4巻を。
リアルな空気感の中描かれる、社交ダンス部の面々の青春劇。
今回のオビは、書店の手書きポップみたいなデザインになっていて面白いですね。好きなデザインです。「青春のもどかしさとまばゆさがぎっしりつまってます!!」ってのも、自分が言いたいことをばっちり書き表しててw
物語も動き出して、一層楽しみな作品になってきましたよ。

前巻→苦しくても逃げたくても、立ち向かわなきゃ。『BUTTER!!!』3巻



ひとまず目標の文化祭公演を成功させるため練習をしていくダンス部。
4巻は文化祭めがけての具体的なアクションと本番、そしてその後が描かれています。
ストーリーも当然面白かったのですが、ちょいと気になった所を挙げていきましょう。

●夏をめぐる「努力」の話。
4巻は最初の17話からして夏の様子がおかしい。おかしいというかいつもどおりなのかもしれないんだけど、明らかに彼女の本質をフィーチャーして「いやな人間」に見せようとしてる感じ。
それはつまり、この巻では彼女の成長を描いていくんだぞっていう意志のような。
いろんな話題に首を突っ込んでは「私も頑張ってるんだよー!」ってアピールしたげな夏。彼女の友人曰く、というか誰から見てもまるわかりなんだけど、話題の中心にいたがりなんですねこの女の子は。
才能がないとはもう分かったからから、頑張りは認めて欲しい・・・。
成長して新たに見えてきたのは、夏のねっこに根付いた醜さですよ。そういう性格の悪さがあると自分でもわかっているんだけど、意識できてもすぐ改善できるなら人間苦労はしません。
自分より優れてる人間には才能がある、ってレッテルをおしつけて、自分と同じフィールドにいないと考える。無意識に。すごい人は才能があるんだって考えて自分を守ってる。自分に努力がたりないと認めたくない。それはつまり逃避。
そういう、ちょっとチクッくる描写がそこかしこに用意されている。
けれど4巻の夏は自分の醜さを受け止め、変えようとする姿を見せてくれています。

そんな夏が、とある女の子とケンカをするのが第19話。
これはもう、「自分には才能がないんだから」ってむしろ卑屈になりすぎてしまったからこそ起きてしまったトラブル。「私よりこの人はすごいんだから」と要らないにも程がある遠慮かましてこの大失敗。ままならんなあ青春というのは。
でもこのケンカ、相手の女の子も完全にいい子というわけではなくて、わりとこじれる。
はあーこのケンカ、大好きです。
経緯の子供っぽさとかくだらなさとか・・・本当に未熟。けれど切実な苦しさがある。
それだけでも楽しいんですが、解決法もフィジカルを武器にし肉弾戦をしかけていく感じが本当にたまらない!若い若い!大人同士ならなあなあで流してしまいそうなすれ違いにも、全力でぶつかってくんですよ。
そこで飛び出す「フツーこんなちゃんとケンカなんかしてくんねーぞ!」っていうセリフもまた大好きで。本当にそうだよなと。ぶつかり合ってこんなに真正面からケンカできる機会、そうそうあるものじゃない気もするんだ。ちゃんとケンカするって、大切だなあ。

ほんとにみんな自意識過剰なんだ。誰かと比べて自分がどうとか、気になってばかり。
でも高校生だろ、それが当然だしそれでいい。自意識に振り回されて浮かれたりへこんだりするのって、それ自体すごくまぶしいのだ。



●そして文化祭当日。
いよいよ練習の成果を見せるときぞ、とテンションあげちゃうみんなですよ。

バター3

「すっごいうまくいっちゃったらどーしよー・・・」

ぼんやりと大成功を思い浮かべる。練習はしたよ。なら期待してしまうよ。
一方で端場くんはやっとこさ家族に、自分がなんの部活をしてるかを明かす。それも彼なりに本番を成功させるために覚悟を背負うためのものだし、やっぱり端場くんも気合入ってる。
そうやってみんながちょっとずつ緊張しながらも期待を募らせる様子に、読んでいて自分もボルテージ上昇ってもんです。けれどさて結果は――・・・

失敗はしなかった。それだけ。ささいなミスはあっても全然大丈夫。
“なんとなく”できちゃった。けれどそれってさ、なんか違うんじゃないか。
体中が熱く震え上がるような、言葉にならない叫びを上げたくなるような満足が、果たしてあったと言えるのか。
学生ノリで楽しく可愛く。それは正しいことに違いない。間違いなく思い出になる。
それで満足したメンバーもいる。精一杯に頑張って、なんとか結果を出したんだ。それは嬉しいに決まってる。頑張っただけの成果はあったに違いない。

けれどこんなちょっぴりの、普通の感動だけでは満足できない人もいた。130ページのみんなで手を上げて決めるクライマックスで、1人だけ、普段とは明らかに違う表情してる人ですよ。普段だったらこの人、絶対高揚して顔赤くしてたり多少なりとも表情を出すはずなのに、なんて無表情。
「不完全燃焼なんだろそうなんだろ」ってヤツです。思い返して見れば、自分達がやってきた練習も100%の全力で取り組んだのか、そもそも輝かしい大成功を望めるようなものだったのか。
心のどこかで、「これくらいやっておけば、なんとかなるか」なんて考えていたのかもしれない。そんな覚悟じゃ、最初からこんな未来はわかりきっていたんだ。けれど不相応の期待をしてしまった。それは仕方のないことなんだけどさ。
時間と努力を一杯一杯に使って・・・それで「全力の賭け」をしなきゃ、強烈な満足感なんてあるわけないんだよ。

「若いくせに必死じゃねーとかなんだそれ!!」「もっとやれるだろ、違う!?」

叱咤するのは大人たち。「なかなかよかったよ」とは言ってくれるけれど、そんなのはオマケみたいなもので真実ではない。学生だから、最低限の苦しさで楽しい思いができて、お手軽に盛り上がれるような・・・そんな生ぬるい環境の中でしか成り立たない嘘の優しさ。
そんなものはいらないと手を振りほどけば、次にやってくるのは大人の、プロとしての厳しい意見に貫かれる瞬間。
本当に、このダンス終了後のシーンは熱い。ゆるやか~にダンスをやってきた漫画ですけど、ここでダンスにおける「熱血」が芽吹いたような気がするのです。
こんな満足じゃ終われない・・・。そう感じてから、ダンス部は一歩を踏み出すのです。

でも高校生ってもう無邪気な子供でもないから、なにかに全力投球的に夢中になるというのも難しい年頃だと思う。

●ここで気になるのが二宮和美、副部長さんですよ。
「やりたいことだけやってなんとなく許される人にはある種才能のよーなモノがある」って一節が4巻に出てきましたが、これって彼女のことなんだよな。
どこか冷めている二宮さんは、無気力な女の子。いろんなモノを背負いたがらない。それで今は(きっと)最低限の努力で、今は部活を引っ張っていられるほどマスターしてる。
でもこれから先はきっと、今の彼女のスタンスのままじゃ壁にブチ当たる。
友達同士みたいな部活と言っても、一枚岩ではない。目標や、それを叶えるための意識や・・・違うことは沢山あるし、それが原因でおこるいざこざだってこの先たくさんあるんじゃないかな。
部長さんとの関係と合わせて、今後盛り上がるのは彼女のエピソードなんじゃないかと密かに期待をしていたりします。人が変わっていく瞬間を描くのが上手いこの作品だからこそ、楽しみなんだ。



という感じの「BUTTER!!!」4巻でした。
ちょっとストーリーの内容に踏み込みすぎてネタバレしすぎたかと反省しているんですが、書いておきたいことを書くにはちょっとこれくらい必要でした。
今回はかなりストーリーが動きましたが、むしろこれから大きく膨らんでいく未来へのプロローグであるという印象が強いです。
連載も2年を超え、更に盛り上がってくる感じでしょうか?

これまで自分がこの作品に感じていたの魅力はスポ根的な一面ではなく、思春期のパーソナルな悩みやそれを吹き飛ばす爽快な展開が大きかった。小さな世界の中のカタルシス。こじんまりした、個と個のバトルだったりふれあいだったり。
けれどこういう展開になってくると、多分もっと大きな世界に彼らは触れていく。この作品がどうなっていくか、この愛おしいダンス部の面々がどうなっていくのか、超楽しみですよ!
まぁこの作品のことだから、世界観が広がっても相変わらずみんなウジウジ悩んだりするんだろうけどw でもそれが楽しくて可愛くて、期待している自分です。

精密な人物描写は今回も冴え渡り、微妙な人間関係をふんわり感じ取らせてくれる。人間関係のリアルさですよ。キャラクターの「人間」がガシッと定まっていて、それぞれが絶妙に絡み合ってる。見える部分見えてこない部分の作りこみも素晴らしい。だから些細な日常のワンシーンにだって最新の注意を払ってじっくり読んでみたくなるんですよね。
ダンス部の男の子たち、どんどん仲良くなっててニヤニヤ止まらないですよ・・・!大事件はなくとも日々の積み重ねが確実な変化をもたらしている。こういう所も大好きで。
キャラクター愛溢れる漫画ですよ。その人のいい所も悪い所も、愛を込めて描かれてる感じ。
キャラ愛といえばそうそう、明らかに贔屓されてる子がいてニヤニヤするw

バター

『「かわいいから」の一言が言えれば人生は楽』とかね!こんなわかりやすいフォロー(というかいじり?)を作家から入れられるキャラ、作中じゃ他にいないよなw
コイツもツンデレこじらせて過去に大失敗してるからなあ。今度こそなんとかしろやと!

長々とかいてしまいましたが今度こそ以上。5巻楽しみしてます!
もっと本気で青春掛けようぜ。それがまさしく青春だからさ。レッツ・ダンシン!

『BUTTER!!!』4巻 ・・・・・・・・・★★★★☆
ちゃんと本気で感動したいんだって。とんでもない失敗があっても、青春は全力投球ですよ。
「青春」って書きすぎてもうこっ恥ずかしさなんてどっかに飛んでいってしまった。

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