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正直どうでもいい

こんな名前ですが好きな漫画の感想をかくブログです

[漫画]戦う勇気は分け合える。『鉄楽レトラ』3巻

鉄楽レトラ 3 (ゲッサン少年サンデーコミックス)鉄楽レトラ 3 (ゲッサン少年サンデーコミックス)
(2012/11/12)
佐原 ミズ

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   殴られたって、構わないんだ。

「鉄楽レトラ」第3巻の感想。
一ノ瀬鉄宇という男の子を中心に、感動的なエピソードが次から次へと投入される大好きな青春漫画。今回もいいお話が揃っています。
3巻の大きなテーマは「友情」なのかなとぼんやり思いました。
それは核となるエピソードの内容が、主人公ら男の子3人組の絆を再確認するものだったから。ケンカみたいなことも起きてしまって、3人の心の繋がりが試されます。
踊りの練習も進んできていて、ストーリーの展開も気になるところですが、まだ3巻では、じっくりとその準備を整えていく。

痛みを超えて、もう1度立ち上がれ。『鉄楽レトラ』1巻
今はまだ遠い君の所に。『鉄楽レトラ』2巻



1巻2巻と主人公、鉄宇のことはたくさん触れられていました。
3巻は彼とともに踊りを習う、友達2人にスポットライトがあてられます。

スペイン舞踊に必要なのはダンスだけじゃない。演奏と、そして歌がなくては。
かつて声楽をやっていたという菊池くんに歌唱を頼むも・・・なんだか拒絶されてしまった。というところから始まります。

菊池くんはその美声で評判となり、聖歌隊でも活躍していた少年。
しかし声変わりでその美声が出せなくなり、周囲からは落胆され―――
そのことが原因で歌うことを拒むようになってしまっています。
それどころか過度な注目を浴びることですぐに心が乱されてしまったり。
強いトラウマから複数の問題を抱えた少年が菊池くん。

もう1人の少年、市川くんはぽっちゃりとした体型と大人しい性格で、そのことをコンプレックスにも思っている様子。
3巻を読んでいてまず思ったのは、「市川くんいい子だわ~・・・!」ということでしたよ。でもやっぱり弱くて。こういう子は応援したいよな。
女の子を助けても逆に「デブ!」とか罵られてるしな・・・。

菊池くん、市川くん。2人の奥深いところがしっかり見えてきます。
何かを持っていたがそれを失った少年。望んでもなにも持てなかった少年。
己の無力感に悩まされる・・・ってのは思春期にゃあるあるかもしれない。
それはなかなかにヘヴィーで落ち込まされるもの。些細なことであっても少年らの心は傷つくわけで。
そんな彼らのナイーヴな心を揺さぶる悪意が、世界には散らばっていて。
世の中にはいい人もいれば、そうでない人もいる。
納得のいかない事も多いけれど、その中でなんとか戦ってやっていくんだろう。

レトラ31

「たった一言の礼にすがって生きる情けない奴なんだ」
「自分に自信の持てない人間は、どう生きたらいいのか分からなんだよ…」

市川くんのこのセリフが心に刺さる・・・。
でも何もないってことはないんだよ、彼が気づいていないだけで。
この3人の中で、誰が1番の人のためにとっさに動ける行動力があるかって。
結局それは自分が必要とされたいがためのものだけど、やらない善よりやる偽善とも言う。
「デブ!」と彼を罵ってきた女の子も、ちゃんと最後にはお礼をしてくれた。
なんであれ、ちゃんと行動できる市川くんはカッコいいんだよ。

あと菊池くんと鉄宇の場面。
塞ぎ込んだ菊池くんにドアをはさんで語りかける鉄宇は名シーンですなぁ。
「僕らが君の事、飽きると思う?馬鹿にするなよ。」
殴られたって構わないとまでいう鉄宇。それはつまり近くにいるってことだから。
もう声も届かないくらい遠くに行かれてしまう方がよっぽど辛い。
彼も1度はどん底まで落ち込んだ人間だった。彼なりに他者の痛みをはかり、その上で傍にいさせてと言う。胸が熱くなるシーン・・・!

レトラ32

3人の絆はさらにぎゅっとかたく。
この巻は3人それぞれが言葉を交わしていく中で、勇気を授け合っていく、補い合っていく展開が見事でした。そう簡単に勇ましくなんてなれないけど、「友達がいるから」ってのは少年たちには十分な理由のはずだ。そうやってプラスに成り合いながら進むのは気持ちがいいものです。
12話の最後のセリフも、いいですよね。「最後、惜しかったね・・・でもなんか、いつか楽しくなるといいよな・・・」って。いやいや、今のきみたち、結構楽しそうだよ!
それでもまだまだ成長して、もっと楽しみたいって貪欲さを見せるその姿勢がいい。



そんなこんなの「鉄楽レトラ」3巻。
今回はメインの男の子3人組についてがメインでした。そのほかにも描かれていることは当然ありましたが、心震えたのはやっぱりこの3人についてだった。
3人揃えばそれぞれが響き合って、のびのび楽しんでいる雰囲気がとても好き。
今回も結構ヘヴィーな出来事がありますが、そこからの再起が気持ちがいいのです。
心が痛くて暖かくて、ほろり泣けてしまうような盛り上がりが味わえる。
挫折と再生をあざやかに描き出していく作品。
ストレートに心を熱くしてくれる、誠実な青春漫画だと思います。

『鉄楽レトラ』3巻 ・・・・・・・・・★★★★
良質な人間ドラマです。「再び立ち上がる」その瞬間を、力強くまぶしく描く。

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