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[漫画]甘く痺れて逃げられない、貴女から。『沼、暗闇、夜の森』

沼、暗闇、夜の森 (百合姫コミックス)沼、暗闇、夜の森 (百合姫コミックス)
(2013/01/18)
さかもと 麻乃

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   今、この瞬間、私はこの少女に失恋したのだ

さかもの麻乃先生の百合漫画新刊「沼、暗闇、夜の森」の感想です。
百合姫にて掲載された短編4つと、描き下ろしを多数収録した一冊。
タイトルがすごいですよね。もう一度。「沼、暗闇、夜の森」。これだけでもう心惹かれてしまいますよ!同じようにグッと来る人は、きっとこの本の雰囲気はお気に召すでしょう。
どこか痛みを伴う恋。甘く痺れるような毒が、この本にはギュッと詰まっているのです。
女の子の可愛らしさと、しなやかさと、そして闇。
あと、この本はオビが付いている状態がマジでカッコいいです。書影だとオビなしなので、画像で載せておこう。この黒とコピーがバチッとハマってます。

沼、3

では内容の話へ。
前作「パイをあげましょ、あなたにパイをね」もお気に入りの一冊でしたが
今回の「沼、暗闇、夜の森」はさらに鋭利に心に入り込んでは傷つけてくるような感覚を味わいました。切ない作品ばかりではなくもちろんハッピーな作品もあります。
しかし、自分の心を震わせてくれた作品ばかりです。これはいい作品集だ・・・!
以下、個別に感想。若干ネタバレを含んでしまっているので注意で。



●魔少女
教師と生徒の百合。トップバッターにして辛口。この本でも1番好きかもしれない漫画です。最初のモノローグからして俺の良作センサーがビンビンになりました。
「今、この瞬間、私はこの少女に失恋したのだ―――」
常識人の先生と、不良の女の子マホ。事あるごとに問題を起こすマホに苛立ちを覚えるも、その奔放な美しさに心惹かれてしまう先生。

沼、5

好きな花は、愛情を持って育ててあげたい。でも、ありのままの自然の姿だって尊い。上手い愛し方ってどういうものだろう?
バラのトゲをめぐる、恋と愛情のお話。「恋と愛情は別物なのではないか」という想いを込めた内容にしたと作者が語るとおり、切ないすれ違いが胸にザックリ突き刺さる作品です。
これはもうラストが好きすぎるので、ネタバレ前提のお話をしてしまいます。

バラのトゲを抜いてはいけなかったのだ。そう諭したのは、ほかならぬ先生だった。けれどいつしか、先生はマホのトゲを抜いてしまった。そしてありのままの姿を失った先生は、
うまく愛してやることはできた。でも彼女は、うまく恋をし続けることが出来なかったのだ。愛を与えようとするのは、きっと恋じゃなかった。少なくとも彼女達の関係においては、先生が望む恋愛から遠ざけてしまう悪手だった。
この作品、すごく皮肉が効いているのに、間違いなく幸福です。間違いなく幸福なのに、凄まじいもどかしさと切なさを残していくんですよ。この矛盾を抱えたままのストーリーにとにかく魅せられる。
愛してしまったからこそ、「私が愛した貴女」が消えていく。だから私の恋も、いつしか溶けてなくなってしまったのだ、と。
ハッピーエンドなのに悲恋の香りを強く残す、不思議な作品です。
こういう世界もあるのか、と新鮮な気持ちで読むことができました。

マホの変わりようは、読者として見ればなかなか魅力的なんですよ。
でも確かに、中盤までとラストでは、マホの目つきが全然ちがう。
あの、闇にいざなうような、怪しい光をたたえた瞳ではなくなった。
愛を与えられ満ち足りた、明るい輝きを放つ瞳になっている。
よく人は恋で変わるとかなんとかいうけれど、変化の肯定的な面ばかりを見ていた自分だからこそ、この作品でクラクラしたのかな。その衝撃も込めて、大好きな作品。



●ショートヘアの似合う女
「魔少女」も大好きですがこれも大好き。というかこの単行本は全部好き。
「ショートヘアの似合う女」もまた、心にチクッとした痛みを与えてくれる作品。でもどこか晴れやかな読後感だ。
北欧に旅行にきた女性たちが、昔を思い出したかたちで語られるストーリー。もう終わってしまった恋。叶わなかった恋。それでも忘れられず今だって綺麗にとっておいた想い。それらが冷たい北欧の世界でノスタルジックに回想され、そして改めて1つの答えが出される。

お互いの少女時代の恋との決別がされるクライマックスは、気持ちのいいものではあるけれど、やっぱり切ない。
昔を懐かしんだり悔やんだり、そういう情けない感傷的な部分は自分にも多分にあります。で、改めて考えるに、これはこれで幸せなものかもしれない。
「あの頃、私のこと、どう思ってた?」とそんな風にあとから確かめる機会も滅多にないでしょう。その上で尋ねる勇気も相当いる。
でもこの漫画では、報われない形であったけれど、それが叶えられたわけです。
思い出は思い出のままで美しいけれど、でももっと欲張りになってしまえば、もしかしたらこの漫画みたいに、甘酸っぱくて気持ちのいい世界を味わえるのかな。

沼、4

「私、あの時、加奈のこと好きだったんだ」
「実は、そうなんじゃないかなって思ってました、薄々と・・・」
「あはは」

この会話の空気が愛らしさ!
切なさも可愛らしさも交ざってニヤニヤするしかない。



●世界の終わりとケイコとフーコ
嫉妬と独占欲。女の子の後ろめたい感情がこれはこれで可愛らしいお話。
恋愛漫画ではあるけど感覚的には強固な友情関係という印象。でも恋愛か友情か、なんて分けて考えるのも百合漫画じゃバカらしいので良しとする。想い合えばそれが2人のオリジナルな関係です。

途中、ケイコがあまりフーコのことを見ていないって描かれていたけれど
ケイコがフーコのことを好きじゃないっていうんじゃなく、単にケイコがそういう人なんだよねっていう話。でもフーコとしては、もっと自分をもっと見て欲しい。もっと自分をわかってほしい。そういうすれ違いでちょっとストレスためちゃう場面すら、「かわいいなこいつら!」としか思えないのである!
「世界の終わり」なんて突拍子も途方もない想像をして、結局は相手しか見えていないという時点で、もう、ね!



●沼、暗闇、夜の森
表題作はトリッキーな演出が見応えのある意欲作。これまでにない仕上がり。
冷たく暗い水の中をたゆたうような、妙な気持ちよさと気持ちわるさが同居した不思議な雰囲気。最初はクエスチョンが浮かぶタイトルも、読んでみれば納得。
幽霊が見える女の子・キコが主人公。彼女は現実のクラスメイトたちと全然話せないし、教室で幽霊としゃべりこんで気味悪がられているような女の子。死人としかうまく話せないキコですが、憧れの女の子がいるのです。それが磯谷さん。さて、

死人としか話せないキコの、歪んだ想いが見事に表現されていたのがこのモノローグ。
「磯谷さん 死ねばいいのに そうすればうまく話せるのに」
強烈!これはすごいと思いましたね。仲良くなるために、憧れの少女の死すら願ってしまう。なんという理不尽で凶暴な欲望だろう。ゾクゾク!
しかしゾクゾクするのはそこからの展開ですよ!何を信じればいいのかわからない、想像の余地をたっぷりと残したラストです。面白いな。

個人的な解釈を書いておくと、ラストシーンの磯谷さんの登場シーンに違和感がありますよね。クラスの人気者であるはずの彼女が入ってきても、クラスメイトたちは挨拶をする素振りすらない。ということは、彼女は幽霊で、キコだけが見えている状態?でも、この漫画のどこからが「キコの世界」だったのかで見え方が違ってくるか。現実と夢の境界が見えないからこそ、何度も読んではいろいろ考えを巡らせてしまいますね。
怪しくドリーミーな仕上がり。女の子の、血なまぐさい欲望。ドキドキしっぱなし。



これからは単行本描き下ろし漫画の話。
●スワコさんとデート
前作「パイをあげましょ、あなたにパイをね」で登場したインパクト大のキャラクター、スワコさんの番外編。
印象的な女性だったので記憶に強く残っていました。また会えて嬉しいです。
奔放で自由な愛を持った人だからこその寂しさ。寄り添う主人公も、その寂しさを紛らわせることはできないんだろう。スワコさんがスワコさんであるのに必要なものなのだ、この言いようのない寂しさは。ハッピーな漫画ではないけれど、でもこの2人はなんだかんだで上手くやっていけるんじゃないかな、という余韻が残る。

●下着通り
バカ漫画その1。「ここから先は下着姿じゃないと通り抜けできません」というとおりにやってきた百合カップル。しかしこまった、ブラを忘れた!ということで以下に胸を隠しつつ通ろうか、と悩むお話。なぜか途中で、いかにして自分たちのラブラブっぷりを見せつけて歩くか、という話に変わっていくw

沼、2

「抱き合っていれば胸も隠せすしイチャイチャできるぞ!」ソウデスネ!
アイデア勝負という風の勢いある漫画ですねー。バカみたいだけど可愛い!いい意味で頭が悪くて、本編で負った傷がちょっと癒えたように感じる。

●ケンカ
バカ漫画その2。百合カップルがチンコらしきものを投げ合いぶつけ合い、はげしくケンカをするという異次元すぎる展開がヤバい・・・!最初意味がわからなかった。
最後は二人が仲直りして、一緒にチンコをバキッとへし折るという・・・。
ディルドでしょうけど、まんまチンコとしても全然違和感ないですからね。

沼、1

痛快だなぁ!チンコなんていらねーよ!というメッセージだろうかw
これも一発ネタっぽいんだけど、だからこそ瞬間風速が凄まじい!
これも頭ワルいですなー。本編でしっとりと読者を甘い毒に浸しておいて、単行本のラストがコレである。もう笑うしかない!



そんな作品集。
百合姫掲載の作品郡のクオリティは高く、ツボるの人はとことんツボるであろう、じめっとした作風。暗いばかりでもなく、でも甘いばかりでもない。女の子の様々な秘めた想いたちを明かしていく。
その刹那な感情たちは、自分にとってはなかなか飲み込み難く、心の中で暴れまわる。完璧な理解ができないからこそ、ここまで胸に残るのでしょうかね。百合って、こういう不思議な感触が楽しいです。柔らかいのに優しくない、この独特の味わい。
お洒落で、カッコよくてかわいくて、傷つきやすくて強い女の子たちの、いろんな表情。繊細さの中にしたたかさを備えた、やみつきになる作品集です。

『沼、暗闇、夜の森』 ・・・・・・・・・★★★★
心を澄ませて、歪で美しい恋愛を味わいたい一冊。けっこう、辛口かも。

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