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[漫画]怯える幽霊と忘れられない華の影。『惡の華』8巻

惡の華(8) (惡の華 (8))惡の華(8) (惡の華 (8))
(2013/06/07)
押見 修造

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   私ね あのとき 「ざまあみろ」 ・・・って思った

「惡の華」8巻の感想です。今回の表紙は春日。
濃密な思春期の窒息感。そこから一歩抜けだした高校編の2巻目となりました。抜けだしたといってもいろんな人があの日々を引きずっている。生傷を抱えたまま無気力に漂っているような。
今回もかきむしられるような痛みに心がヤラれ、これこそが「惡の華」の醍醐味だよなと改めて思いましたよ…!
アニメも面白いですね。いよいよ決壊の時…最後まで楽しみです。

高校編は春日のあたらしい人間関係が築かれていきます。
その外見に仲村さんの面影を感じさせる少女・常磐さん。
実は文学少女であり小説も書いている常磐さんに、癒されているのか惹かれているのかそれとも両方か、ともかく距離が近くなっていく春日。
高校編に入ってからは静かに物語が進んできていましたが
ここに来て“あの人”も登場したりして、いよいよ話が再始動してきたよ!

前巻→その目に焼き付けてくれよ、僕らの”惡”を。『惡の華』7巻



●幽霊になった春日
忘れるわけがない。あの頃を。あの人を。
すべて遠ざけるために引っ越して、新しい生活を始めている春日。
でも過去をまっさらになるわけは無い。中学時代の残照はいまも強烈に春日の心を焼き続ける。
なんで今も生きているのか。こんな風に無様に生きているのか。
そんな葛藤を込めて、彼は自分のことを「幽霊」と呼びました。

惡の華81

文学少年と文学少女。話の合う常磐さんとの時間は、閉まりきっていた春日の心のトビラを少しずつ開かせていく。
けれど「幽霊」という自意識が、ふと彼の足を止まらせる。
上のシーンでは改めて春日の心に救う闇にゾクゾクさせられたなぁ。
乾ききった表情、沼の底みたいな瞳の濁り…!
ああ、まだ熱は冷めてない。今も春日の心をじわじわ苛めている。やり場のないまま、きっといつか爆発するかもしれない可能性を秘めたまま。

「幽霊」という言葉にハッとした常磐さんにも気になったけれど、後半でなんとなくわかった。彼女が書きためていた小説のプロットの内容にシンクロする部分があったんだな。
もしくは春日の生傷にシンクロするものが、常盤さん自身にあったのか。
どちらにせよ彼女のそのプロットを読ませてもらった春日は大興奮で
「これは僕だ!」
「この村…山に囲まれた…どこにも行けない田舎の…ここに書かれてるこの感じ…知ってるよ…!」
とまるきり自己投影。涙まで流して感動する。

小説としての面白さを評価ももちろんしているけれど、ここまで春日を突き動かしたのはやはり自分に距離が近い内容だったからなんだろうと思う。
中学時代に夢中になった詩集「惡の華」。あの頃の春日はこれをよすがとした感じでした。けれどそれは失われた。取り戻してはいけない過去になった。強烈な未練を残しているけれど・・・。
そこで常盤さんですよ。あの涙で春日の中の常磐さんは更に大きくなったんだな。
新しいよすがを、もしかしたら見つけてしまった…。

惡の華84

自分のアイデアにここまで心動かされた相手を見て、冷静でいられるわけもない。
常磐さんは緊張と羞恥でずっと熱っぽい表情をしていてとてもかわいかった。
はい。春日の精神状態のこともあるので素直に興奮することは最初読んだ時は出来なかったけれど、繰り返し読んだ今なら空気を読まず言える。顔を赤らめる常磐さん超かわいい!!!
感動する春日。常盤さんの必死な情熱。2人のボルテージはもうMAX!

でもあそこで嬉しそうに涙を流した春日を見て、
やはり春日はなにかしらで救われたがっているんだなぁ、と再確認。
仲村さんに最後の最後で突き放されたことがトラウマで「もう誰とも深く心通わせることなんて出来やしない」と考えていそうな春日。
でも否が応でも心打ち抜かれる瞬間はある。それが常盤さんとのあの出来事だったんだろう。
どうか彼の心に平穏が取り戻されたらいい。幸せになってくれたらいい。

でも心のどこかで「また惡の華が芽吹くのが見たい」「グチャグチャに汚れて崩壊していく人間が見たい」という欲求もあって、それはだってこの作品だから当然でしょう!
浮き足立つ春日。しかし彼を再び過去へ引き戻す『あの女』が再登場…!!
そりゃそうだ。惡の華だもの。待ってたぜェこの瞬間をよォ!



●過去からの使者

惡の華82

佐 伯 さ ん 襲 来

やっぱり来た!佐伯さん再登場!!
それもまぁーーー今の春日を試すような挑発的なセリフをバンバン吐き出して。
正直、煽ってたんだと思う。再会した時きっとワクワクしたんだろう。だから携帯のアドレスを聴きだしてすぐにまた会おうとする。
春日がいまも沼の底にいるのかどうかをきっと確かめるために。
自分を沼の底に引きずり落とした張本人が、今もちゃんと汚れているかどうかを見るために。
未来に踏み出し始めたばかりの春日の前に現れるタイミングも神がかっているよなぁ。エグいわぁ…。

もはや女神な佐伯さんはどこにもいない。ブラック佐伯さんである。
一度壊れたあと立ち上がっても、完全な再生なんてえりえない。墜落した心の痕はいつまでも残り続けるんだろう。
名言はされていないけれど、佐伯さんも完全に春日を引きずっている。佐伯さんの中の春日は、たぶん春日にとっての仲村のような存在なんだろうな。
自分を目覚めさせた引き金。象徴のような存在なのかもしれない。

仲村が春日を最後で解き放したように。
春日は佐伯さんと落ちて行くことを選ばなかった。
そのことが佐伯さんをきっと究極に追い詰めた。そしてそのことの復讐に近い感情も含めて、再び佐伯さんは春日の前に座ったんだろう。
「あのまま2人が死んでたら 悔しすぎて… 私どうしていいか分からなかったかも」
あの頃の佐伯さんを焦がした強烈な嫉妬は、もう晴れたんだろうか…。

高校生になってからは「普通に幸せ」と言う佐伯さんは、恋人がいる。
小泉くんというその少年は、かつての春日のような容貌です。
そのことを常磐さんはすぐに気づいて指摘し、そして春日はそれを否定する。29話とかで、最後まで「佐伯さんはそんな人じゃない…」と彼女を理想化してしまっていた春日。今もまだ、「自分なんかを意識しているわけがない」と考えているのかも。

単行本ラストの描きおろしページでは、春日と別れたあと彼氏と会う佐伯さんが描かれています。
この佐伯さんの表情がとても印象に残る。寂しげな、悲しげな表情。
現在の春日は、佐伯さんにとって残念なものだった。「がっかりした」。
でもだからこれからも春日に関係し続けてやろうというつもりは無さそうに見える。春日に見切りをつけたように見えるんですよね。
迎えに来てくれた小泉くんは、おとなしそうだけど本当に佐伯さんを大切にしているのが伝わってくる。彼の直向さに、佐伯さんは癒されているように見える。たしかに彼女はいま幸せなんだろう。

佐伯さんがまた登場することも有り得そうだけれど、コレ以降登場せずとも納得できる。「佐伯さんのストーリー」は、ここですっきりとまとまっていますように感じました。
佐伯さんは復讐をやり遂げたのかもしれない。最後の表情は、痛みを伴うも味わい深いほほ笑み。
でも何を考えているのか、本心が見えづらいキャラクターなので、油断はならないな。



●花と3人

各話の合間に描きおろしのイラストが載っています。
これがまた面白い。6巻のときと似た、「花を携えた3人」が描かれている。

惡の華83

左から春日、常磐、佐伯。
6巻の時は「惡の華」を持っていましたが、今回は普通の花です。
花びらの形態や小さくトゲがあるを見るに、これはバラかな。

惡

↑これが6巻の時のものです。比較するといろいろ読みとれそう。

まず春日。またしても彼はうつむいて立ち止まってます。
前に進めていない。そのことが現れている感じ。
だけど花の持ち方が変わっていますね。手に持っているけどどう持てばいいのか分からず、ただじっと握り締めているように見えるかな。

次にまんなか常磐さん。うしろに回した手で花を持っています。
隠しているのかな。この花をどう捉えるかで意味合が変わってきそうです。シンプルにバラの花と捉えるなら、秘めた恋心みたいなイメージが湧く。
でもこれが綺麗なフリしてまっくろで、おおきな瞳のくっついた、醜悪な惡の華かもしれない。
恋心をこじらせて嫉妬でズブズブに身を堕とす惡の華ルートだってあるんだよなぁ、佐伯さんみたいに。普通の人は道徳・倫理で惡の華が咲くことを恐れて押し殺すけれど、種そのものは誰の心にだってきっとあるのだ。
後ろ手に花を持って歩いて行く常磐さん。

そして佐伯さん。
彼女はもはや、花を持っていない。足元に花びらが散っています。
足元を見ると、もしかして歩いてもいないのか…?片方の足のかかとが浮いていたら歩いていると分かりやすいんだけどなぁ。立ち止まっているように見えますね。
ならきっとそうなんだろう。佐伯さんは何も持たず、進めてもいない。

ちなみに41話後には道端に落ちているらしきバラの花が描かれています。ポツンと一輪。セットになるキャラクターはなし。
41話ラストで「いま仲村さんはどうなっているんだろう?」という話をしたあとにこのページが来るので、なんとなくこの落ちたバラは仲村さんを指していたように感じました。
なんの含みがあるがあるかは色々考えてみたいですね。意味はありそう。




「惡の華」8巻の感想でした。
高校編に入ってから中学編のあの熱狂が遠いものになっていて、結構寂しい感じもしていましいた。春日がゆっくりと痛い思い出と向き合う時間。カサカサと乾いた世界。
異常なくらい熱気ムンムンだった中学生時代とのギャップで、一層その感覚が強まる。絵柄も大人っぽい風に変わって来ましたよね。

しかし常磐さんとのふれあいの中で、そこにみずみずしい色が加わっていくのを感じました。
はぁー常磐さん女神ですなぁ。春日の心に寄り添い、そして上向きにしてくれている。
春日が抱える生傷や、彼の家族関係のきしみ等、これからどう再生されていくのかな。

今回の表紙は、うつろな目をして上へと手を伸ばす春日。
もがいてると言うほど必死さはない。沈んだ表情は希望を感じさせない。
それでも手を伸ばしてなにかに触れようとしているのは、彼がきっと救いを求めているからなんだろう。あるいは誰かを心の底から求めているのか。
76Pで常磐さんの横顔にメガネの幻を見てしまった春日に、やっぱりこの話が向かうべきはアイツだろーという気持ちを強めて〆。
佐伯さんも出てきたことだし…やっぱりあの人も再登場してくれないとさ…。
…山田くんの再登場をまっています!

『惡の華』8巻 ・・・・・・・・・★★★★
平穏がねじれていく一冊。向かうは崩壊か再生か。



キングレコードが公式で挙げていたので貼ろう。アニメのOP曲です。よく出来た曲ですよねえ。仲村・春日・佐伯編それぞれ別の独立した曲だと思ってたんだけど、まさかの同じ曲だったw 

≪ [漫画]剥き出しなシビア&爽やか青春劇『中卒労働者から始める高校生活』1巻ホーム[アニメ]最高級の、雨ふる楽園の物語。『言の葉の庭』感想 ≫

Comment

はじめまして。
僕も8巻読んで、ほぼ同じ感想をもったのが書き込んでみました。
佐伯さん、すっかり清楚ビッチになっていましたね。
この後、佐伯さんをまた悔しがらせる展開を希望する一方で、この漫画的にはそういう展開にならないようにも思います。
あのころに積み残したいろいろな痛みを感じる漫画なのかなと思っていますので。
乱文失礼しました。
これからもよき感想をお待ちしています。

楽しく読ませていただいております。
6巻と8巻のメインキャラクター3人のイラストについての鋭い考察が秀逸だと感じました。
物語の感想も、私が感じた事に大変近く、「同じように感じた方がいたのだ」と嬉しかったです。
(と言っても、私はこんな風に明快に文章化する事は到底できませんが…)
とうに通り過ぎて忘れていたはずの思春期の痛みを思い出す、痛々しくもいとおしい作品ですね。

ところで『惡の華』は、コミックスの表紙も毎回とても魅力的なのですが、8巻の表紙が春日だった事を考えると、常磐、春日ときて9巻は誰なのでしょうね?
佐伯は8巻をもってこの物語における役割を全うしたと感じますし、晃司というキャラにはそこまでの業の深さを感じないので、やはり…「あの人」なのでしょうか。
となると運命の再会があるかも知れない(ないかも知れない)9巻が益々待ち遠しいです。

それでは9巻が出た頃、またお邪魔させていただきます。

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「さざなみ」と読みます。
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