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[漫画]Reborn.『惡の華』9巻

タイトルは大好きなsyrup16gというバンドの、やさしい曲から。個人的には9巻に合う歌。
「時間は流れて 僕らは年をとり 汚れて傷ついて 生まれ変わっていくのさ」

完結となる第11巻が発売だ!ということで、まる1年できていなかった「惡の華」のコミックス感想を再開…。いまさらかよ!でも今やらなかったら本当にタイミングなくなってしまうよ!
書けていなかった9巻と10巻をやっていきます。そのあとに最終巻の感想を書く予定。
今日は9巻の感想記事です。

惡の華(9) (少年マガジンコミックス)惡の華(9) (少年マガジンコミックス)
(2013/08/09)
押見 修造

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   僕がきみの幽霊を殺す

いつまでも、ひとりぼっちなような気がしていた。
けれど分かち合える人と出会えて、手を取ることができた。
9巻は、そんなふうに、少年が生まれ変わるための物語だった。

もちろん本当にまっさらに生まれ変わることなんて出来ない。
過去と未来は地続きで、過去をなくすことも過去と無関係な未来を歩むこともできない。
けれど生まれ変わる。ここからが、彼の思春期のエンディングだ。

前巻→怯える幽霊と忘れられない華の影。『惡の華』8巻



●幽霊から生まれ変わるのだ
常磐さんの小説にはキーワードとして「幽霊」が使われている。
この言葉は春日の心を貫き、ひたすらに彼を虜にした。
そこにいるのに、こんなにも膨大な気持ちが溢れそうなのに、誰にも気付かれず、誰とも繋がれずにひとりぼっちの存在。
それを一言で「幽霊」と表現し、それはまるで自分のことだと春日は言う。

第44話「罪深い僕の心が求めるのは」は、1話単位で考えるならこれまででトップクラスに好きな一話となりました。
この回は春日の精神世界と、その自問自答、自己嫌悪との戦いが描かれていて、高校生・春日高男のその時点のすべてが炸裂しているような。
畳み掛けるような刺激的な言葉と印象深いカットの連発で、最高のカタルシスがこちらに体当りしてくるエピソードです。ここから彼は生まれ変わった。
仲村の幻影がうしろから見つめてくる。内なる自分が語りかけてくる。過去の罪の汚い嗤い声が響く。それでも春日の胸にいたのはひとりの女の子だった。

この44話では、囚われた屋敷に佇む2人の幽霊が描かれました。
これがそのシーン。春日と常磐がふたり、幽霊となって屋敷にとらわれている。

悪92

この時点で春日が、「常磐と付き合いたい」と思っていてそれが具現化したイメージがこれだった…とは思わない。そういう肉体的な欲求とは違う。
ふたりで幽霊となっているというこのイメージを浮かべたということは、
春日がそれだけ、常磐の中に自分とおなじ空気や温度を感じ取ったということだろうなと思う。
「一緒にいたい」というより「一緒にいなきゃいけない」という使命感に突き動かされたような感触ですね。

「キミはずっと…ひとりで悩んで…幽霊みたいに…」
「僕にはできない 一生 幽霊の世界で生きていくなんて」

悪93

そして春日は走り、「僕と生きてくれ」と、手を差し伸べる。
春日ってやっぱり行動力はあるよなぁ…!本作トップクラスの燃えシーンですよ!!

「生きてくれ」というのは、プロポーズのような重みを感じるフレーズだし
同時に「幽霊のきみを救ってみせる」という、彼女のナイーヴな部分に言及し、ふたりにしかわからないメッセージ性を宿した、とっておきの言葉だった。
そして春日自身の、幽霊としての自分から変わろうとする意思も含まれている。
ともに幽霊の世界から抜けだして、変わっていこうという強い覚悟が溢れる。

しかし「僕がきみの幽霊を殺す」と告白するのって……すごく……うん…うん!!!!!(身震いしながら) こういう文学的な言葉でやってしまうのが彼らしさであるし、こういう所に、常磐さんも心掴まれてしまったのかもしれないな。

抱きしめあって「あったかい」と言ったら、照れた恋人に叩かれてしまった。
そんな幸福な夜が、春日にもやってきた。



●「ただいま」
あれから影の落ちたままの春日一家。
そっけなく、過去には触れようとせず、恐れるように距離をとった家族。
しかし春日は、ようやく、「ただいま」を言うことが出来た。
それは再生の合言葉だったのかもしれない。

悪91

この「ただいま」は、簡単な言葉ではなかった。
外出して戻ってきたからの「ただいま」ではなくて、きっと数年来もの。
1人さまよって、寂しがっても1人で、涙を流したのもきっと1人だった。しかしこれからは違ってくる。誰かをともに生きる、平凡な世界へ、帰っていく。
親からしても、待ちわびた、希望の鐘のような一言だったに違いない。ここから再生する。



●握りつぶした惡の華

印象的だったのが、春日が惡の華を握りつぶした場面
第44話は先ほども書きましたが彼の内面における葛藤が渦巻いていました。
その最後に、彼は惡の華を握りつぶす。そして常磐への告白へと駆け出すのです。

悪95

これが、個人的には、春日の思春期のエンディングのためのカギだった。
それはかつて彼が大切にしていた美しいものであり、魅力的な世界の象徴だった。
心に渦巻く闇や、破滅的な諦観や、暴れ狂う自意識や……様々なものが内包された、彼の思春期の象徴。それを彼は握りつぶした。彼の決意をこれほど強く表したシーンも無い。

第47話では、握りつぶしたあとの右手に惡の華の残骸がこびりついているシーンがあります。これが面白かったですね。「華」を握りつぶしたとて、その手が綺麗になるわけではない。心に黒くこびり付き、過去を忘れさせないための証となる。もしくは、忘れないための戒め。

また単行本巻末には、見開きで3枚のイラストが描かれています。
1枚目は「惡の華」の文庫本。佐伯さんの体操着。そびえ立つ山と降り注ぐ雨。
2枚目は無数に咲いた惡の華。燃え盛る炎。包丁。
これらのアイテムは物語の進行を表しているように思えます。
そして3枚目。これが良い。とてもいい。

惡の華94

「惡の華」の文庫本。バラの花。惡の華の残骸。階段に足をかける少年。

彼を惑わす「惡の華」はもう咲かない。かわりに咲くのは、愛の象徴である、バラの花。けれどかつて拠り所とした文庫本は今もある。そして少年は階段を登る。
春日が過去を乗り越えつつあることがわかる、素敵なイラストなのです。



「惡の華」9巻感想でした。過去最高に、ポジティブな内容だった……!!
わりとすぐに、つぎの10巻の感想にも着手します。

この9巻は、緊張で震えながら読みました…。
雑誌で読んでいたのですが、毎回毎回、凄まじいくらいのストーリーのうねり!
思春期のドロドロとした不安や疑心暗鬼や自意識をこれでもかとページにたたきつけていた中学生編。高校生編はそれよりも趣が違っていました。消せない過去、消せない罪を背負った、静かで残酷な傷だらけの日々。
けれど9巻は、春日が過去最高に前向きで格好良く、自分でなにかをつかみとろうとする必死さが、最高だった。間違いなく彼の人生のターニングポイント。

表情。言葉。心象風景。9巻はどれも絶品でした。
高校生編は特に、その場に流れている時間の流れや感触を描くことに、執念のような情熱を感じます。常磐と散歩して空を見上げたら、春日が泣いてしまう場面なんかは、こっちまで泣けてきた。
中学生編がリビドーと破壊衝動の爆発だったことを考えれば作品としてかなり雰囲気がかわりましたが、そういった面でもテクニックを感じますね。
ああ、もう、幸せそうで、良かったぞ、春日。よかったな。

『惡の華』9巻 ・・・・・・・・・★★★★
幽霊の世界から飛び出した。締め付けられるような切なさと高揚感に、全身震えてしまった巻でした。彼女が出来て幸福恐怖症な春日くんがかわいい。

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