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正直どうでもいい

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[本]刹那的、オンナノコ。 『女の子のすべて』

女の子っていいよねぇということを長々綴るちょっと気持ちの悪い更新!
女の子のすべて (シガレットコミックス)女の子のすべて (シガレットコミックス)
(2011/02/28)
山田 酉子

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   痛くてもいいよ 海ちゃん

コミック売り場で表紙に一目ぼれ。そして大当たり。
シガレットコミックスから発売されました、山田酉子先生の「女の子のすべて」です。
この清楚な表紙イラストにはちょっと不釣り合いな感じしますが、黄色い楕円が表紙右上にある通り、成年向け作品となっていますので注意。
シガレットコミックスというのは昨年8月に出来た比較的新しいレーベルで、女性向け作品を数多く出版している松文館が販売元ということもあり、女性向け成年漫画レーベルです。
作者の山田酉子先生は現在はBL漫画を中心に活動しているようですが、オビによると5年ほど前に1年間だけ成年向け作品を描いており、本作はそれをまとめた短編集ということですね。
では内容へ。



10の短編を収録。うち9作は16ページとコンパクトで読みやすい構成です。
一方で内容はかなりシリアスで、毒の強い作品も含まれています。
また成年向け作品ということで、程度の違いはあれ大半の作品にそういう描写はされています。まぁこれ買う人は18歳以上なので別段問題ないです。
登場人物はみんな学生の女の子たち、男の子たち。思春期全開。
では特に気になった作品をいくつか詳しく。いくつかと言いつつ半分以上ですが・・・!

夏の魔物

自分とは違う、小さく華奢で頼りない、可愛らしい"女の子"。
けれどその彼女が、校内で彼氏と激しい行為に及んでいるのを目撃してしまう・・・。
自分も彼氏持ちなのにどうしようもなくその女の子に興味を持ってしまい、また影響されてしまう主人公がなんとも可愛らしかったですが、最後にむりやりにキスをしておきながらラストで「わたしの夏の恋は一瞬で終わった」と完結させてしまうのが面白い。切なさより、笑顔。
情熱的で、でも凄く乾いた世界観。
様々な「少女像」を描く本作ですが、この短編に登場する女の子たちは、この単行本としては結構分かりやすいほうのキャラ。
何を考えているのか、どうしてその行動をとるのか、理解をすることはできます。
理解できるけれど、それも面白い。その選択肢を選べるのかーっていう。女の子だなぁ。

わるいうわさ

DVをテーマにした作品。個人的に性描写が一番マニアックでエロかった(笑顔)。
いつも傷だらけな少女。それを憂う主人公の男の子。けれど事の真相は、少女は無茶苦茶にされることで「支配されている実感・悦び」を得ていたというもの。
傷つけられるのは、本人たっての希望だったのです。マゾか!
けれどそれによって確かに安心できるという少女。

20110310225457.jpg

主人公としては、好きな女の子にそんな破滅的思考を抱き続けられては気が気が出ない。
苦肉の策として彼女を所有しているという印を、彼女の身体に付けることに。
重いテーマでしたが、ラストはなかなかに微笑ましいものとなっています。
作中、主人公が「神埼さんって意味わかんねー」とぼやきますが、これがこの作品に共通する感情だなと思いました。そう、意味が分からない。
同じ人間なのに男の子とは明らかに違う、異性。いや時として同姓であっても理解できない女の子。だから魅かれる。んでもって可愛いんだから、しょうがないです

女の子のすべて

表題作のヒロインはまたしても不思議。強く、不思議な女の子
レイプされたお返しに、学校でちょっとしたサプライズを仕掛けた少女。
真意の読めない女の子と、彼女に翻弄されながらも罪悪感に悩まされる男の子。
上手く言えない気持ちを伝えるため、または偽るため、身体を重ねたりする。
女の子はどこか諦観してて、なんとかしてあげたいなと思っても、もう自分の手が届くところにいなかったりする。切ないけれど、現実はそういうものなのかもしれない。
こういう時男の子ってのは弱いなぁ。情けないなぁ。そういうのも可愛いですけどね。
上手くシナリオに載せられて泣けてしまいました。オチも秀逸。
あとがきで作者も書いてましたが、「女の武器」という言葉は、面白いトゲがある。

机上の花

死んでしまったクラスメートは、なぜか生前大して接点の無かった主人公だけが見える幽霊になっていました。
はっきりとした寂しさが伝わる作品。性描写も至極あっさりとしてて、しかし必然性のあるものになっていてよかったです。黒髪セミロングの幽霊っ娘というのもツボでございまする。
生きてるようで死んでいて、優しいようで冷たくて、ちょっと捻くれている。
主人公の前に現れて、そして去っていった彼女を思うと、堪らない気持ちになります。
結局主人公は彼女に対して何かをしてあげることができたのか。彼女は満たされたのか。

20110310225451.jpg

温もりのある虚無感。
男の子はきっといつまでもその女の子を忘れられないんだろう。呪いみたいに。
画像の彼女の表情や視線には何度も心を不安定にさせられます。

胸の奥の小さな箱

双子の女の子。姉と妹の短い物語。
子どものことは仲のいい二人でしたが、成長するにつれ少しずつズレてゆき・・・
しかし高校生になったある日、人気のない公園でレイプされている姉を発見する妹。
秘密の共有から始まる、かすかで新しい絆。しかしそれも長くは続かない。

通じ合えない、理解ができないことの切なさ、もどかしさ。
でもそういう思いを抱いているだけで、主人公は選ばれた立場にあるのでは。
肉親であること以上に、そこには愛情でも友情でもない繋がりがあったように感じる。
人差し指を口元に当てる姉の夢は、妹を突き放している冷たさと、「いつでも見てる、ここで待ってる」そんなメッセージがあるようにも思えてしまったりします。
謎めいた生(性)のまま、どこかへ消えていった姉。ただ記憶が残るのみ。
ラストには切なさと同時に清涼感も味わわせてもらいました。堪んない。
少女が見つめる「少女の性」「少女の不思議」。
やっぱりこれも、よく分からないから惹かれてしまう、とかそういう。

秘密の裏庭

最後の最後できました、ほくほく癒し作品。かわいすぎますってーもう!
ミステリアスな登場人物ばかりな上、切ないラストを迎えることが多い本作の中で、初々しいまっすぐな男の子と女の子が主人公なこの「秘密の裏庭」は存在感あります。
これを最後に持ってきてくれたのは嬉しいですねぇ。構成良し。
ストレートな青春恋物語ですが、幼年期の性、そして現在の男の子と女の子、それぞれの性を描いた内容となっています。性への目覚めって、少し恐くて、でも楽しいものなのかも。
女子高に通う主人公と、その幼なじみの引き籠りの少年。
なんでもない風を装っているけれど、どこか昔とは違う、ギクシャクした感覚を多分お互いが感じてる。でもそれを口に出したり、改善のため行動する勇気は無い。

20110310225408.jpg

   昔よく2人でかくれたしげみ
   今はもう、海ちゃんひとり隠れることもできない


自分たちはもう子供では無い。成長してしまった。
けど大人というにはまだあまりにも幼く、不器用なことしかできない。
だからこそ真正面から「セックスしよう」とぶつかっていった主人公が熱かったですね!
頭脳戦なんてできるほど要領よくないですからね、肉弾戦でしか勝負できない。
もっと近づきたい。もっと触れたい。よろしい、ならばセックスだ。
深く繋がって、感じ合って、体温で、鼓動で、気持ちを伝えよう。

20110310225445.jpg

大人になっていく、子供な少年少女。思春期のむず痒さや恋の喜び、いろんな感情が詰まった秀作です。2人ともかわいいなぁー・・・。



ではまとめ。
凄い単行本でした。絵も言葉も、雰囲気に解かされて敏感にされた心をズクズク責める。
別れや喪失を描いた作品が多く、非常に切ない単行本となっています。
そして「女の子」へのロマンに充ち満ちています。自分が勝手に抱いてる少女へのロマンに、見事にシンクロしているかのような。
「女の子」って神秘の象徴なんじゃないかなと思います。男女問わず年齢問わず、どこかミステリアスなイメージを抱いてしまうのでは。可愛らしい外見ですが、内に何を潜めているのか分からない恐ろしさ。自分を乱されるような強烈な魅力。惑わされる背徳感。穢れようとも失われない清純、凛とした存在感。本作はそれらをしっかり実感させてくれます。
成年向け作品ということでちょっと過激な性描写も一部見られました。
エロの要素としてはノーマルの他に、近親相姦(兄/父)、輪姦、レイプ等。
しかし多くが雰囲気重視の淡泊なもので、男性的なエロでは無いです。
抜きツールとしてはそれほどパワーのある作品であるとは思えません。
殆どエロ描写のない作品もあることから、エロを重視した単行本ではないということです。
女性向け成年漫画ということですが、ディープにいやらしい感じはしませんので
普段成年向けなんて読まないなぁという女性にも、もちろん男性にもオススメできる作品。
良くも悪くも雰囲気重視の作品です。自分は完全にハマりました。絶望的に。

それでここまで結構長く書いてきてアレですが、とにかく言葉にし辛い作品でした。
こういうブログやってる人間がこんな事言うのはどうかとは思いますが。
ストーリー性の強い作品は多くありません。ただ、その短いページに込められた異様なまでの痛みやセンチメンタルは、もはやロマンティックとしか言いようがない。
ほんっとに大好きな作品なんですけど、多分このレビューで自分が言いたいこと半分も言えてません。まぁしょうがない、ロマンは言葉にしたら白けてしまうのです。自分の力不足でもあり。

一番言いたいことはこれです。
弱くて、強くて、近いような遠いような、怖くて、可愛くて、大好き。
女の子って、いいよなぁ。
よく見えないものは、もっと覗きこみたくなってしまう。でも全然分からないから、もっと身を乗り出して覗きこむ。そして井戸の中に落っこちる。戻れなくなる。ドツボですよもう。
素晴らしい作品でした。感服。

『女の子のすべて』 ・・・・・・・・・★★★★★
ピッタリ波長の合う人にはたまらないであろう1冊。うっとりする、残酷で綺麗な少女風景。

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